ドラゴン・キーパー [読書メモ]
むごい仕打ちを受けながら、宮廷竜の管理人の
奴隷として働き続ける少女は、ある日絶望を嘆く声を聞く。
それは長年顧みられることなく閉じ込められ,
全てを失った宮廷竜の断末魔の叫びだった。
少女は運命に導かれる様に年老いた竜と,宮を脱出し、蓬莱をめざす。
旅するなか,少女には名前だけでなく、
ドラゴンキーパーとしての稀有な才能を全て持っている事が分かる。
若い皇帝との淡い友情,熱望しながらも才能に恵まれなかった学者の嫉妬,
歪んだ商人やネクロマンサーに触れる中で、
少女ピンと老竜ダンザは互いを認めていく。
まだ竜がいた頃の中国を舞台とした物語だが、
作者はオーストラリアの人。
やはり、竜のイメージは、竜とドラゴンが入り交じった姿だが、
猛々しさよりも、知識人らしいダンザの所作は好ましい。
名前を持たないピンのいつも諦めた態度が、
どんどん、人としての自信や誇りを手にしていく姿は清々しい。
ダンザが残した「慈しめ、だが甘やかすな。あとはお前の思うはままに育てよ」
と言う言葉は、竜や人を超えた奥にある根っこだと思いました。
これからのピンの旅は困難が山積しているだろう。
聡明なドラゴンキーパーに成長した彼女の姿を想像するのは楽しい。
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