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バーティミアス [読書メモ]

まずは一言、みんなみんな、どいつもこいつもひねくれ者~~~!

舞台は、魔術師が支配する、架空の国”大英帝国”
魔術師は、本当の名前を知られるリスクを避けるため
幼い頃に、実の親から離され(買ってこられ)、師匠に育てらる。
それは、あくまでも後継者を育てるのであって、慈しまれて育てられる
訳ではなく、しかも、隙をみせればもれなく、手下の妖霊からも
他の魔術師から付け込まれるという、
すんばらしい環境なので、まずは支配階級の連中は当然ねじれひねくれているし、
召喚されれば、圧倒的な主従関係を強いられ、気に沿わなければ
手痛い罰を科されるという下僕として、虐げられた5000年を送ってきた
妖霊が素直な性格のわけがない。
常に支配階級に監視され、振り回されてきた一般人にフラストレーションが
溜まらないわけもなく、ふつふつと怒りが沸いているのも当然

そんな世界の支配階級に育てられた主人公の一人は
買われて来た時には幼かったにも関わらず、自分の本当の名前を憶えていた少年。
もう一人(?)は、長い妖霊と魔術師の歴史の中で、唯一、
対等な信頼関係を築いた事がある、まずまずの力をもったジン。
そして、妖霊の力に対して抵抗力を持つ一般人の少女。

彼ら3人の生き様が、まるで氷の柱が少しづつ育っていくように
積み上げられた物語は、やがて、1本の大きく太い柱となって
輝きとともに砕け散る瞬間は、それまで、なにかすっきりしない
展開を一気に昇華させました。
鬱々とした積み重ねがあったからこその、目の前が開けたような煌き
ここにきて、どきどきで読みました。

吹っ切れたナサニエルの贈り物である、新しい時代への予感
異世界を経験したキティは、これからの時代にどう生きていくのか
なにより、二度も人間と対等な信頼関係を結んでしまったバーティミアスは・・・
これらは語られないけれど、決して平坦な道ではないのだけど、一条の光が見える
明日を想像させる結末に、私は満足しました

著者:ジョナサン・ストラウド

バーティミアス 3 プトレマイオスの門

バーティミアス 3 プトレマイオスの門

  • 作者: ジョナサン・ストラウド
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 2005/12/08
  • メディア: 単行本


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コメント 3

まみ

人間の器を乗っ取った魔物が、その体になじめず、異様な様を見せるシーンでは
諸星大二郎の描いたそれが彷彿されました。
micaさんにしか通じないかもしれない、ちっちゃな感想でした^-^
by まみ (2006-03-28 10:45) 

mica

ふふふ。。。。(にやり)

読みます!
地元市立図書館で検索かけたら「貸し出し中」であります。
「予約」しないと。。。<1〜3
わたしは、最近の児童書には、とんと疎いので
こうして紹介していただけると、とっても嬉しいです。^^

ゲド戦記も、そろそろ読み返したいし(やはり貸し出し中)
課題が多いです。(笑)
by mica (2006-04-03 15:22) 

まみ

3巻なんか、本屋で発売日に目にしてすぐに図書館に予約したのに3ヶ月待ちました。

3冊分の感想のつもりで書いたけど、読み返すと、"プトレマイオスの門”に
ウェイトが重いなぁ・・・まぁいいか・・・
by まみ (2006-04-03 18:14) 

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