虚空の旅人 [読書メモ]
自分が帝になることに抵抗を感じ続ける
皇太子チャグムは、父帝の名代で隣国サンガルの
国王交代の儀に出席するため、星見博士シュガと
サンガルを訪れます。
そこでは、南の大国タルシュ帝国がサンガル転覆を企て暗躍
異界(チャグムの国の言葉ではナユグ)とこっちの世界(同、サグ)は
流れが接触するかのように、時には離れ、重なり合っていることを
天道(新ヨゴ国正式な学問)とヤクー(原住民)の呪術による言い伝え
両方をもって見なければいけないことを、チャグムとシュガが
改めて深く認識します。
そして、チャグムは、自分の信念を貫く帝になる決意をします。
神として敬われる立場になる事を、嫌がっていた若い皇太子の
まっすぐな決意は、痛々しいほどです。
篤く優しい皇太子の、行く末は、決して平坦ではないでしょう・・・
これからの展開が楽しみになります。
そして、若き天才星見博士のシュガが、どう関わっていくか
期待してしまいます。
ラッシャロー(漂海民)の娘スリナァの
”もうこりごりだった。二度と王宮なんかとかかわりたくない”という言葉
こんな風に簡単に吐けなくなってしまったチャグム
彼の背負う物は大きいなぁ・・・
著者:上橋 菜穂子
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